不動産の売却費用(仲介手数料・司法書士報酬)と司法書士の役割


こんにちは。千葉県我孫子市で相続を専門にしている司法書士の関です。


親御さんが亡くなったとき幸か不幸か実家や遠方の土地などを相続することがあります。不動産を相続しても誰も住まなかったり、更地で放置していると、固定資産税、都市計画税、火災保険や、草刈などで、今後も継続した出費となります。


また古い家の場合は屋根の瓦が台風で飛ばされたり、地震で外壁が崩れたりすると損害賠償責任が生じてくることもあります。


そのため、災害時にはなんども現地に行って戸締りを確認したり・・といったいろいろと神経も使います。そういうことを実際に何度か経験すると不動産売却やリフォームして賃貸をするなど真剣に検討されるかもしれません。


今回のテーマでは、実際に不動産を売却する際にかかる費用、主に不動産仲介手数料と司法書士の登記手数料についてお話をしたいと思います。ただ、そもそもいくらくらいで売却できたらプラスとなるかも興味があると思いますのでおおよその目安についてもお話をします。


最後に、不動産屋さんの役割は分かっていても司法書士が何をやっているのか良く分からない人も多いので不動産取引において司法書士が何をしているかも、少しだけ説明させていただければと思います。

いくらくらいで売却できるなら検討すべきか?


売却することで足がでるラインは不動産(土地建物)の固定資産評価額で考えるのではなく、市場取引価格(売却見込額)で考える必要があります。


築後27年以上の一般的な木造建築であれば固定資産評価額が100~150万円前後が多いです。しかし、売却する際の査定額はマイナス200~300万円前後でしょう。

司法書士
司法書士

建物を建てた後は表示の登記をすることが法律上のルールとなっています。しかし、実際は売却するつもりがない場合など、登記をしていないケースも多いです。そのような場合に、やっぱり売却しようとなると、表示登記(登記簿上の表題部の登記)をして権利登記(登記簿上の甲区)の保存登記もしないと売却したときに買主への名義変更ができません。

建物の登記簿はのサンプルはこちら

何年か経ってからあわてて建物の登記をするときに「経年減価補正率表」というものを使用して登録免許税の計算をします。その表では築後27年を経過すると0.2以下とはなりません。つまり、築後27年以上の建物の評価は新築時の2割の評価額以下にはならないということです。そのため、どんなに古い家でも、建物の評価額が100~150万円前後が多いのでしょう。

※ここでの評価額とは市町村が固定資産税を徴収するための基準となる金額ですので、売却するときの査定評価額ではありません。


買主は解体費もしくは、大幅なリフォーム費用として最低でも200万円~300万円は考える必要があるからです。


経験上、古い建物がある場合の土地建物の売却査定額が300万円以下となると足がでてしまう可能性があります。ここでの売却査定額が300万円以下とは、不動産屋さんがリフォーム代や解体費を考慮して査定していない金額のため、実際に売却することで発生する仲介手数料、譲渡所得税等でマイナスとなる可能性があります。


一般的に売却直前に大幅なリフォームをしても建物の査定額に変動がありません。むしろ解体することを前提としている買主からすると、解体するのに余計苦労するためより大きなマイナスの査定となる可能性があります。


自分で大幅なリフォームができる資金的余裕があれば、売却するのではなく、賃貸も検討すべきかもしれません。


売却を前提としている場合で資金的に余裕があれば解体して更地にした方が良いです。ただし、更地にして放置していると翌年からの固定資産税が6倍*に跳ね上がるので買主が見つかってからでも良いと思います。

※土地だけの固定資産税で考えると6倍となりますが、建物がなくなると建物分の固定資産税がなくなるため、トータルでは6倍以下の税負担です。



実務上、買主に解体してもらう*ため売買代金を安くする方法が多くなります。上記の売却査定額が300万円以上が売却を積極的に検討するボーダーラインとしたのは解体費を買主持ちで安くすると売買代金が100万円以下となってしまうためです。


*被相続人の居住用空家不動産の売却の場合は譲渡所得税の特例(譲渡益から最大3000万円の控除)が利用できる場合があります。条件を満たすには売主が解体する必要があるため、被相続人が購入した時の領収書等がない場合はこの点についても検討するが必要があります。

(条件)
1.相続により被相続人名義の居住用土地建物を取得
2.相続後、自分が住んだり、賃貸等に利用していないこと
3.区分(マンション)でないこと
4.昭和56年5月31日以前に建築されていること
5.相続開始後3年目の12月31日までに譲渡していること
6.売主が解体していること
7.譲渡する相手が親子、夫婦等でないこと




結果として売買代金が100万円以下となってしまう場合は、仲介手数料や、譲渡所得税等を考えると売主の持ち出しが発生する可能性があります。


一般的に固定資産評価額は市場取引価格より3割前後低くなると言われていますが、古い建物に関してはマイナスとなります。


そのため、おおよその目安としては、お手元にある固定資産税の明細書(毎年役所から4月1日付けで送付されるもの)の評価額が土地建物の合計で400万円以下の場合でしたら処分するときに足が出なければラッキー程度と考えたほうが無難でしょう。


ただし、この場合でも、不動産を保有し続けることで継続して負担となる固定資産税や火災保険等についても10年単位でシュミレーションをして天秤にかけたほうが良いと思います。


なお、上記はあくまでも一般論です。


不動産には同じものは存在しないため、築30年以上でもそのまま住めるような手入れの行き届いた建物も実際には存在します。


そのため、ご自身のケースではどうなのだろうとご興味がある場合は、当方の無料相談をご利用ください。


また、なぜ、司法書士に相談するのが良いかは以下の記事も参考にしてください。


参考:相続した空き家不動産を売却するなら誰に相談する?

不動産売却費用(不動産仲介業者の手数料)


ここからは実際に売却する際の手数料のお話です。


不動産売却の際一番大きな費用は、不動産仲介手数料です。仲介手数料は法律で上限が設定されています。まずはそれを確認して見ましょう。

売買代金 手数料 速算式
200万円以下 5%+消費税 5%+消費税
200万円超~400万円以下 4%+消費税 (4%+2万円)+消費税
400万円超 3%+消費税 (3%+6万円)+消費税
(例)
200万円=200万×0.05=10万円+消費税⇒11万円
300万円=(300万×0.04+2万円)+消費税⇒15万4000円*
400万円=(400万×0.04+2万円)+消費税⇒19万8000円*
500万円=(500万×0.03+6万円)+消費税⇒23万1000円*

*計算が複雑となるため、一律200万円超の場合は速算式を利用します。


*速算式を利用しない場合の計算方法
300万円=(200万×0.05+100万×0.04)+消費税⇒15万4000円*
400万円=(200万×0.05+200万×0.04)+消費税⇒19万8000円*
500万円=(200万×0.05+200万×0.04+100万×0.03)+消費税⇒23万1000円*



上記の表は片手仲介(売主または買主)の手数料です。両手仲介(売主と買主)の場合は単純に2倍の手数料となります。


これらの手数料はあくまでも上限のためそれ以下ではいくらでも構わないことになります。しかし、実際この金額以外の報酬設定をしている仲介業者にお会いしたことがありません。


※ここでの仲介手数料は売買を前提にしています。
賃貸の場合は仲介手数料を安く設定している仲介業者も実際に見かけます。


仲介手数料を安くする方法として媒介契約時に交渉することを勧めているサイトもありますが、あまり良くないと思います。担当者も人間なので値引き交渉をされて好印象を与えるとは思えません。市場取引価格が1000万円を超えるような不動産は担当者のがんばり次第で数百万円くらい増減する可能性は十分にありえます。


私は媒介契約では、一般媒介をお勧めしています。媒介契約後にきちんと活動してくれないから専任媒介や専属専任媒介が良いという考え方も一理ありますが、そもそもそのような業者は囲い込みなどをする可能性が高いと思ったほうがよいでしょう。一般媒介であれば何社でも依頼できるのですから一生懸命やってくれないなら他の仲介業者に依頼すればよいだけと思います。


不動産売却費用(司法書士の登記手数料)


司法書士報酬は自由化されていますが、おおよその相場があります。


以下の見積は売主にかかる一般的な相場です。細かく箇条書きにするより実際の見積書を見た方がわかりやすいと思いますので私の見積書をアップしました。


なお、売主は抵当権抹消が必要ない場合や取得されたときから住所に変更がない場合は登記費用が一切かかりません。


以下は当事務所の売主の登記費用ですが、抵当権抹消と住所の変更登記が必要となるときの見積です。売主についてはどこの司法書士事務所でも以下の見積金額前後と思います。

次は買主の見積の例で、私が都内で他の決済事務所にいたときのものです。その他、複数の司法書士法人から決済バイト(決済日にのみの司法書士バイト)で仕事をいただいた時も名目は異なってもほぼ同額の見積でした。ただし、都内の司法書士でも法人化していない個人事務所であればもう少し安いと思います。

(条件)
・マンション(建物750万・敷地権750万)の合計評価額が1500万円
・住宅ローン(抵当権設定)の融資額2000万円
・居住用の不動産

次は当事務所の見積です。条件は同じです。

上記、売主、買主(都内の事務所、当事務所)の見積は敷地権付き区分建物(マンション)の例です。そのため、専有部分(自分の部屋)についての住所変更、抵当権抹消、移転登記や抵当設定登記をすると自動的に土地に共有持分(敷地権)にも登記をしたことになるタイプです。


上記の当事務所の買主の見積は建物移転登記と敷地権の移転登記については1つの報酬設定としていますが、敷地権付きマンションでない場合は2~3万円前後アップします。

参考:マンションの相続登記は面倒かも?3分で見分ける簡単な方法

不動産取引におけるの司法書士の責任


決済日当日に抵当権抹消がある場合、抹消関係書類を銀行窓口まで出張して取りにいく場合もあります。その場合は司法書士が売主と同行して取得しにいくか、書類受取の委任状を売主からもらい司法書士のみが受取にいくことになります。


売買の移転登記の前に抵当権抹消登記をしないと買主側の銀行は融資をしたくないので、本来であれば抹消登記を完了させてから移転登記と抵当権設定登記の申請をするのが理想です。


しかし、実務上は買主が支払った売買代金から抵当権の残債務を一括弁済して抵当権を抹消するため、お金の流れは登記とは逆になります。


お金の流れは、「融資銀行➡買主➡売主➡抹消銀行」となりますが、登記の流れは「抹消➡移転(売主から買主)➡抵当権設定」となります。


司法書士が確実に融資銀行の抵当権設定登記ができる保証をしないと融資が実行されません。そして、抹消銀行は売主から住宅ローンの残債の入金確認がとれるまで抹消関係書類(銀行の権利証など)を渡してくれません。


そのため、抹消書類は決済日に抹消銀行の着金確認がとれてから受取にいくか、当日、抹消銀行の担当者に融資を実行する銀行まで出張してもらう形と取ります。


売主が自分で抹消登記をしたい場合は、リスクが高くなるため、事前に自分のお金で完済をしておけば抹消書類を預かりにいけるので可能です。ただし、買主からの売買代金で住宅ローンを完済する場合は時間との勝負となります。当日中に買主の移転登記と融資銀行の抵当権設定登記を法務局へ申請できないと損害賠償責任となりえますで、買主側の銀行がOKしないでしょう。



なお、抹消登記と同様に大問題となりえるのが売主の住所変更登記です。


法務局では登記簿上の「住所」と「氏名」で本人確認をしていますので、氏名が同じでも住所が違うと別人格となります。そのため、売主が売却する直前に住所変更をして新しい住所の印鑑証明書を持参してしまうと売主ではない人が売主として売却した登記申請となりますので、登記申請は却下されます。


住所変更に気づかないで、本来の登記の順番が「住所変更➡抹消➡移転➡設定」の場合に、「抹消➡移転➡設定」の順番で登記申請をしてしまうと、 一番最初の申請をし直すため「抹消➡移転➡設定」はすべて取下げが必要です。



売主が住んでいる家を売却する場合は、契約後、遅くとも決済日までには引越しをしているケースが多いので、売買契約時の住所と登記申請時の住所が異なることは大いにあり得ます。そのため、実務上は引越しをしても住所変更の届け出は決済日の後にしてくださいと、しっかり、伝えておかないと大変なことになります。



以下は私自身の失敗談です。


仲介業者から売主さんは住所変更していませんので、住所変更登記はいりませんと伝えられてました。


決済日当日に売主から権利証や印鑑証明書をお預かりして委任状に署名押印をいただきました。その際、印影確認をするため、委任状の押印された印鑑と印鑑証明書の印鑑の印影確認をしっかりとしました。権利証に記載されている物件情報も売却物件に間違いありません。


そして、「問題ありません。融資を実行してください!」と、融資担当者へ会釈して伝えました。


その後、融資が実行されて、入金確認がとれるまで、売主さん、買主さん、そして仲介さんが楽しそうに世間話をしているときに、なぜか胸騒ぎがして印鑑証明書を見直してみると、売主の住所が登記簿上のものと最後の番地だ違うではありませんか・・・・・・!


背筋がぞっとして一瞬気を失うかと思いましたが、その後、売主さんから委任状をもらって市役所まで死ぬ気で急いで住民票を取りに行き、住所移転の申請書を追加して法務局へ申請したことがあります。


もしこの時売主さんの住所が遠方だったらと想像すると恐ろしくなります。

まとめ(不動産取引における登記の役割)


今回は、不動産を売却する際にかかる費用、主に不動産仲介手数料と司法書士の登記手数料についてお話をしてきました。また、不動産屋さんの役割は分かっていても、司法書士が何をやっているのか良く分からない人も多いので不動産取引において司法書士が何をしているかの説明もしてきました。


最後にまとめとして、不動産登記の役割についてお話をしておきたいと思います。


不動産は持ち歩くことができませんので、不動産を所有していることを証明するためには登記(登録)する制度が必要となります。法務局で管理している不動産のデータが公的に誰がその不動産の所有者であるかを教えてくれることになります。


例えば、駅近で中古の戸建てを探しているとします。できれば住み慣れたいまの賃貸のアパートから近いところで探したいとします。


そんな時、毎朝15分程かけて駅まで徒歩通勤する際に戸締りのしっかりされいる建物が目に留まりました。数日前の休日の昼間に通りかかったときも雨戸が閉じられていたので、「空き家なら売ってくれないかなぁ?」と思って表札を見るとAさんと書いてあります。


この建物が誰が所有者で今どこにその人がいるかを調べたければ法務局へいって登記簿をみれば確認することができます。仮に表札がAさんでも登記簿ではBさんとなっていればBさんがAさんに貸していたのかもしれません。登記簿の所有者のBさんに手紙を書くなり、NTTの104で登記簿上の住所から電話番号を教えもらうことができて自分で値段交渉も可能かもしれません。


登記申請は義務ではありませんが、登記は先にした方が優先するルールがあります。


例えばAさんがBさんとCさんに同じ土地を2重に譲渡してしまった場合は、B・Cの勝敗は契約日や代金の支払い日とは関係なく、登記を先にした方が優先されます。これは売買移転登記の話ですが、抵当権の場合は1番抵当と2番抵当では、1番抵当の登記をした方が優先されます。


仮にローンの返済が滞って競売に掛けれらた時に、まず1番抵当権の銀行が先に弁済を受けます。2番抵当権の銀行は融資額に関わらず、1番抵当権の銀行が返済を受けた後に、残りがある分しか弁済されません。そのため、通常は1番抵当でないと銀行は融資してくれません。


決済日当日は融資の担当者は確実に1番抵当権ができる保証が欲しいため司法書士の言葉を信じて融資を実行しています。


慣れるまでは決済日は司法書士にとって責任重大であり相当緊張するイベントです。ですから、それほど高い報酬を支払っているわけではないかも、、と感じていただけると嬉しいです。


当事務所は相続登記や遺産整理業務(名義変更の一括受任)をメインで行っていますので、その後の空き家不動産の売却をお手伝いすることも多いです。


また、もし相続の名義変更はだいぶ前に終了していて空家だけがある場合でもご相談ください。不動産屋さんへ相談する前に知っておくと得する情報提供が可能です。




「自分のケースではどうなんだろう?」など個別のケースについて知りたい場合は、当方の無料相談をご利用ください。無料相談についてのご案内はこちらから




千葉県我孫子市にある相続専門の司法書士事務所(司法書士天王台法務事務所)
営業時間:9時から20時
(土日祝日も営業中)  
〒270-1143
千葉県我孫子市天王台2-10-7-603
(お客様相談窓口 304号室)
 フリーダイヤル 0120-56-3456
無料相談のご案内
 相続丸ごとサポート
 相続登記(不動産のみの名義変更)
 相続放棄
 家族信託
 公正証書遺言
 生前贈与
料金案内
お客様の声
アクセス
予約フォーム
・電話でのお問い合わせ 0120-56-3456

※営業時間内は通話中を除いて原則つながります。
事務所に誰もいない場合は司法書士の携帯に転送されます。万が一移動中で出られなかった場合は、着信いただいたお電話番号に折返しご連絡いたします。こちらからの架電は04-7157-4510または080-7821-3913からとなります。

コメント